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早稲田通り心のクリニック院長・小栗康平による,USPTの入門書。間口は広く,内容は奥深いと評判です。USPT開発の経緯,憑依霊と精神医学との関係,内在性解離(潜在意識下人格)の理論解説,豊富な症例呈示による人格統合の過程,USPTによる過去世療法・未来世療法など,内容は多岐にわたっています。

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Clip to Evernote 2016年2月25日

「憑依」と「解離性障害」

 「憑依」をテーマにすると,どうしても,うさん臭く思われてしまう可能性が高いので,正直なところ,あえて触れずに別のテーマで記事を書くほうが無難でしょう。しかし,あえて早い段階で「憑依」についてUSPT研究会の見解を示すことにしました。
 憑依=オカルトという印象を持つ人は多いことでしょう。そんな人に,クイズです。

 Q) 米国の精神疾患診断マニュアルであるDSM-5の「解離性同一症/解離性同一性障害」(いわゆる多重人格)の項には,「憑依」という単語が何回用いられているでしょう?

 A) 正解は,12回(憑依possession 11回,憑依するpossessing 1回)です。
 このことは,「憑依=オカルト」だとステレオタイプに決めつける思考こそがカルトであることを物語ります。

DSM-5診断マニュアルにおける「憑依」の位置づけ

 DSM-IV-TRで特定不能の解離性障害(DDNOS)に分類されていた憑依体験(憑依トランス)は,上述のDSM-5においては解離性同一性障害(以後,DID)の中に分類されるようになりました。DSM-5中の憑依に関する記載について,詳しく見ていきましょう。

・ DSM-5中では,憑依という現象が科学的に一定程度の妥当性を持つかどうかについて言及はありませんが,世界の多くの地域で浸透している概念だという前提のもとに,記載がすすめられています。
・ DSM-5によれば,憑依(possession)の全てが,DIDである訳ではありません。世界各地で見られる憑依体験のうち,大多数は正常なものであり,病ではなく,霊的慣習の一部とみなされます。
・ DSM-5によれば,憑依体験の一部(文化的に許容されず,望まれない不随意性のものであり,臨床的に意味のある苦痛や障害がある憑依)だけが,憑依型解離性同一性障害(Possession-Form Dissociative Identity Disorder)と診断されます。
憑依型DIDの例として,霊魂や,超自然的存在,悪魔や神によるのっとりなどが,DSM-5に記載されています。憑依型DIDは,同一化の破綻が顕在化しにくい非憑依型DIDに比して,交代する同一性の出現が非常に顕在的となります。

 原著の英語版には「as if」の文脈で記された部分もあるものの,少なくとも憑依をただのファンタジーだと切り捨てないDSMの姿勢は,大きく評価されるべきしょう。

USPTにおける「憑依」の位置づけ

 しかしながら,USPTにおける憑依の扱いかたは,DSM-5とは異なります。USPTでは通常,「憑依は,解離性障害とは別の現象である」と考えます。

 USPT中に出現する憑依霊は,悪魔・天狗・地球外生命体などである場合は稀です。もし出現したとしても,治療者を騙そうとする人間霊が「悪魔」を名乗っている場合がほとんどです。不慮の死をとげた人間霊や,ネガティブなエネルギーとしての生き霊が憑依している場合,それらの霊は,USPTを施行しても,主人格には決して統合できません(もともと1つだったクライエントの心が分かれた人格「部分」ではなく,あくまで外部から憑依したものなので)。

 実臨床では,憑依霊と解離人格部分の見分けがつきづらい場合も多く,その意味では,DIDを憑依型DIDと非憑依型DIDに分類するDSM-5の診断基準にも一定の理はあります。
 ただそれは,あくまで診断類型上の捉え方であり,前者(憑依霊)と後者(同一性の破綻による人格部分)では,対処法が異なるので,技法と経験が必要となってきます。実際には,人格部分が解離しやすい人ほど,憑依されやすい性質でもあるため,憑依霊と人格部分が1人のクライエント内に共存するケースも多いですが,その場合,対憑依霊と対人格部分とで,それぞれ別のアプローチを行います。
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